街探検・原町カッコウ公園、昭和の仙台駅前のシンボルが余生を送る場所

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仙台市中心部と沿岸部を結ぶ国道45号線を東へ向かうと、宮城野区原町に変わった名前の公園があります。

公園の入り口に「原町カッコウ公園」と書かれた看板が掲げられていました。

仙台市内から多賀城塩釜方面へ行く途中の場所でカッコウが鳴くような山間部ではありません。

それほど広い公園ではありませんが、国道45号線側から原町本通りの方まで続いています。

ベンチや遊具が端に置かれているので面積よりも広々とした印象ではありますが、ぱっと見ただけでは何がカッコウと関係あるのかわかりませんね。公園の奥(原町本通り)の方へ行ってみましょう。

原町本通り側の入り口に何やらモニュメントのようなものが立っています。実はこれが公園の名前のもとになった「カッコウ」なんですね。

その名の通りに鳥のカッコウをデザインにしたものですが、もともとは仙台駅前の青葉通に立っていました。カッコウの下に由来が書かれたパネルが設置されていたので内容をそのまま転載します。

「カッコウ歓迎塔」の由来
●昭和38年12月6日仙台駅前青葉通に設置される。
●製作者 安倍郁二氏(当時原町在住中で、元東北工芸指導所所長)
●この歓迎塔の由来は、東京オリンピック以後の経済発展が人の動きを促し、仙台にも観光客から経済人まで多くの人が訪れ、これらの人々を歓迎するための歓迎塔として設置、このカッコウは当時30分間隔でカッコウと鳴き、多くの観光客や市民から親しまれ、昭和46年仙台市はこの鳥「カッコウ」を「市鳥」と指定、横断歩道等で交通安全にも貢献、昭和52年に仙台市がこの塔を撤去した際当時の原町商工会役員がこの歓迎塔を貰い受け、地域の活性化に繋げようと今日まで大事に保管し、平成10年の商店街の春まつりパレードで21年ぶりに復活、カッコウが奏でる街の公園としてカッコウの鳴き声が流れる地域として街に潤いをもたらすことでしょう。
●安倍さんは、「カッコウ」のほかにも現在西公園に設置されている「こけし塔」の製作等、東北地方の工芸発展に尽力、宮城野中学校敷地内に「工芸発祥の地」の碑が建立されている。

仙台駅前に設置されて仙台を訪れた多くの人を歓迎していたシンボルを譲り受けたものでした。パネルには今でもカッコウと鳴くようなことが書いてありましたが、撮影している時には鳴きませんでした。

今でも仙台市中心部の歩行者用信号機にはカッコウと鳴くものがありますが、このカッコウが元祖だったんですね。西公園にある「こけし塔」を製作した人が作ったものだということも初めて知りました。

原町本通り側から見てみました。仙台駅前に設置されていた時には、どのような感じだったのでしょうか。ネットで当時の写真を見つけました。


p. Classic Freightcar Archive

今回、旧型貨車保存図鑑さんから写真を転載させていただきました。カッコウ歓迎塔が撤去される5年前の1972年(昭和47年)に愛宕上杉通交差点の方から仙台駅を撮影した写真で、奥に見える建物が昔の仙台駅です。現在公園に設置されているのと同じように向かい合って立っています。当時はケヤキ並木が低かったのでカッコウの存在感が大きかったんでしょうね。


p. Classic Freightcar Archive

ちょっとアップの写真です。当時はちゃんと2本の足で立っていたんですね。駅前通から青葉通に入ってすぐの車道に歓迎塔のための分離帯が作られて、そこに立っていました。

現在の青葉通を仙台駅側から撮影。青葉通を跨ぐペデストリアンデッキのちょっと西側のあたりに立っていたようです。

仙台駅前のシンボルが今は原町のシンボルになりました。賑やかな場所から落ち着いた場所に変わり穏やかな余生を送っているカッコウが、これからも地元の人たちに親しまれていって欲しいものですね。

参考写真
旧型貨車保存図鑑  仙台駅旧駅舎
p. Classic Freightcar Archive